幕末の章

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***  同じく恭平も、父・久蔵に新選組入隊試験の話をしていた。 「新選組というのは、いつまで京で活動するのだ」  久蔵にとしてはそこが気になるようだった。確かに、今は恭平がいなくても道場の運営に支障はないが、久蔵もあと数年で隠居を考える年になる。そうなった時に、恭平がいなくては困るというわけだ。  元はといえば、新選組というのは将軍が上洛する間だけ京に滞在する浪士隊だったそうだ。それがあれよあれよと向こうに居つくことになり、一大剣客組織として活動してもう二年以上になるという。この先何年京にいることになるのか、恭平にも久蔵にも皆目見当がつかなかった。しかも、一度入ればおいそれと脱退することもできないらしい。 「新選組に入って腕を振るえば、恭平のよい経験にもなるし、我が流派の名も広めることができる。悪いことばかりではないだろうが……」
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