幕末の章

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  ***   こうして三日後、鉄次郎と恭平は二人仲良く試験会場となる市ヶ谷の道場を訪れた。  人で溢れかえっており、鉄次郎と恭平はひとまず庭で待たされた。呼ばれた者から順番に道場の中に入っていく仕組みのようだ。  こんなにたくさんの入隊希望者がいるのかと、鉄次郎と恭平は少し弱気になった。同年代くらいの若者もいれば、親より少し若い程度と思しき壮年の者もいる。姿も様々で、折り目正しい着物をきちんと着こなす者から、少しみすぼらしい者まで。髪型は月代をいれている者、総髪の者、半々くらいだった。鉄次郎たちは一昨日剃りなおした月代の頭をぺちっと触り、変じゃないよな? と互いに確認した。  やがて、鉄次郎と恭平の名が呼ばれ、二人は中へと入った。他の志願者と共に下座の壁際に正座すると、副長の土方が真ん中に立った。 「皆の者、此度は新選組への入隊を志願してくれたこと、感謝する。今日は二人ずつ前に出てもらい一本勝負の様子を見せてもらう。勝ち負けだけではなく戦い方も含めて総合的に判断するゆえ、含み置くように。審判は私がつとめる」
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