維新の章

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 ***    大政奉還がなされた、という見出しが瓦版に踊ったのは、まもなく年の瀬といった頃合いだった。  いつものように道場にやってきた鉄次郎のもとに、恭平が血相を変えて走ってきた。 「鉄っちゃん、瓦版、見た!?」 「見てないけど……」 「これこれ」  と、恭平は目の前で広げて見せた。「大政奉還」の四文字の意味が、鉄次郎には最初わからなかった。だが読み進めていくうちに、その内容が信じがたいものであることがわかった。 「……これって、徳川様が将軍やめるってことか?」 「将軍をやめるっていうか、幕府がなくなっちゃうみたい……」 「幕府がなくなる?」
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