維新の章

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「考えが甘いと言っておるのだ! そのような者を戦に出すわけにはいかぬと言っておる! どうしても行くと言うのなら、親子の縁を切るぞ」  そこまで言われるとは鉄次郎の想定外だった、かと言って、「じゃあ、やめます」と後に引くのは格好がつかない。鉄次郎は半ば意地になっていた。 「わかりました。今日までお育ていただきありがとうございました」  鉄次郎は深々と頭を下げると、バッと立ち上がって部屋を出た。  その足ですぐ物置に向かい、行李を引っ張り出して荷物をまとめ始めた。すると、ただならぬ様子に気づいたトクが鉄次郎に駆け寄ってきた。 「鉄次郎さま、どうしたのですか、そんなに慌てて」 「トク、ちょうどよかった。俺の着替え何着かと、手ぬぐいと、あとなんかこう、あったら便利そうなの行李いっぱいに詰めたいんだ。持ってきてくれ」 「どこに行かれるのです」 「とりあえず、山浦道場に行って恭平と合流する。父上には言うなよ。勘当されたからな」 「勘当! お、奥様……!」 「おい、ちょっと!」
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