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俺はサンドイッチを全て腹に収めてから作業服のファスナーを閉めた松下を見た。
「松下さん」
「なんですか」
「取れた腕、俺が拾いますから」
「うん」
「死なないでください」
松下は俺を見ると照れたような顔で「うん」と答えた。それから気を取り直すように「それならついでに」と言いながら黒くて大きな鞄を俺に向かって投げた。俺は座ったまま腕と膝でそれを受け止めた。意外と重い。
「それ持って行って」
「なんですかこれ」
「秘密」と左手の人差し指を立てる松下は笑いもしなかったが、どこか楽しそうだった。
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