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 急な坂の上の古い建物が指定怪奇種対策庁宮城局だ。築百年は経つ古い施設を改築したりして何とか持たせている。元々は図書館だったようで、入り口近くのカウンターやら備え付けの棚やらにその面影が残る。  俺達の事務室は二階の、何段か小さな階段のある先に設置された部屋だ。扉はガラス張りで、目隠しの為か大きなカーテンが掛かっている。局長によればこの部屋は元々展示室で、図書館の小さな催し物で使われていたとのことだ。やけにオープンな作りになっているのはそのせいか。 「ここは俺ら三人しか使わないから」 「え、まじっすか」 「んだ」と局長は頷き首に掛けた名札を掲げた。「局長の亀山。よろしく」 「お、大泉(てつ)です。よろしくお願いします」俺は局長とヘルメット男に向かって頭を下げた。  ヘルメット男がA4サイズのデジタルメモに何やらサラサラと書いて俺に見せた。石森七太、とある。どうやら彼の名前らしい。 「石森君。彼がここの最前線を担当してる」  局長の言葉に俺は目を丸くした。「最前線って、石森さん怪奇種やっつけんですか」 「んだ。本当は一年目の子には事務方からやってもらうんだけど、大泉君の場合はちょっと事情があってねえ」  ここの自治体は人工生命体等に依存しない怪奇種対策を講じているとは聞いていたが、まさかこんな人が町を守っていたとは。石森さん、何気にすごい人かも。
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