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口に合ったのか、あっという間に平らげていくお二人。その様子を見守りながら、私はずっと感じていた違和感を思い返してみた。
大きいお城だけれど、食卓に集まるのはいつもお二人だけ。ベスティア様はルナールのお父様だけれど、お母様をお目にかかったことはない。
食事のたびに目立つ、ベスティア様の隣の空席。
ずっと気になっていた。けど、なんとなく聞いてはいけないような雰囲気。
埋まることがあればいいのだけれど……。
***
「イリス! それとって!」
「ここにこれ、置いておきます!」
「あなたこれやっておいて!」
「ビビアン!! これ切っといて!」
朝食準備中の厨房は修羅場である。なるべく早く、おいしいものを届けるために。だからとても大変。
「イリス! とったら私に渡して! それ必要なの!」
「はぅ、はい!」
メイドに叫ばれて、手に持っていた調味料の小瓶を手渡す。
「イリス! 手ぇ空いたならお皿並べて!」
「はぃい!」
戦場のような厨房で働き終わると、ビビが「大丈夫?」と話しかけてきてくれた。
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