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「ここのあたりは山や森が多いだろう? 魔力を多く出す山や森が多くあることで、この地域は常に多くの魔力で満ちているんだ。
魔力は地面からも生まれるが、ここでは周りの魔力と反応して、他の地域の二倍ほどの魔力が地面から生み出される。そうすると、地面からあふれる魔力が長年積み重なることで、魔力の圧力が生まれる。ここまではわかるか?
魔力の圧力が生まれると、地面を舗装していたものが圧力に耐えきれず、割れてしまう。割れたものは尖っていたり、鋭かったりして危険なため、ここでは道路の舗装はしないのだ。地面が波打っているのも、地面からあふれる魔力によるものだ」
ここまでを一息で説明するレガリス様。すごい肺活量。
「我ながら、中々わかりやすい説明だったとは思わないか? レジーナ」
「調子に乗って長々と話したのはマイナスポイントですよ。長くて分かりにく
いです。もう少し簡潔に話せたのではありませんか?」
「厳しいなあ」
仲睦まじい様子のお二人と、そこに取り残させる私。どうしたらいいのかしら。
「ちょっとレガリス、イリスが困っています。あまりくっつかないでいただきたいですわ」
「おや、すまなかったねイリス。――おい、お主、マグヌス領へはあとどのくらいで着くのだ?」
「もう半時間ほどです」
半時間もすれば、私はファイ家の者ではなく、マグヌス家の者となる。今は不安が大きいけれど、ファイ家のみんな、特に、ソルくらい仲が良くなれる友達が欲しい。
あぁ、ソルに会いたい……。まださよならして一日も経ってないけど会いたい……。お休みのときには飛んで会いに行くからね! っていうか、そもそもマグヌス家の嫡男――憎きルナール・マグヌスのことだ――の専属メイドって、お休みもらえるのかな?
気になったけど、その時に考えればいいかと決めた。
「レガリス様、レジーナ様。マグヌス家は、一体どのような一族なのですか?」
「マグヌス家は、獣人族と呼ばれる種族の、最高位の家系です。種族の長は代々マグヌス家から選ばれています」
「代々……名家なんですね」
「ええ。ですが、私たちファイ家とは昔から犬猿の仲で、あまり接点を持っていませんでした」
「それに、大きな権力を持つ二家が関わると、危険が生じる可能性もあるからね」
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