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「危険、ですか?」
「ああ。互いに多くの魔力を持つ二家が全面戦争でも起こしてみろ。国全土を巻き込む大戦争だ」
魔力同士は、互いに反応・融合するため、思いもよらぬ被害を及ぼすこともある。
扱いを間違えればとてつもなく危険な魔力を膨大に持つ者同士が全力で魔力をぶつけ合ったら……。
国全体が焦土と化す。
「……軽率な質問でした。恐ろしいですね」
「そうなの。ですから、関係が悪くなったら、そこで接点を持つのをやめていたのです。いつ争いが起こるかわからないので」
「そうなのだ。おや、話をし過ぎたか。もうマグヌス家の城が見える」
レガリス様の言葉につられて窓の外を見ると、小高い丘の上に、それはそれは立派なお城が建っていた。
「あれがマグヌス家の本家ですか?」
「そうです。相変わらず派手な城だこと」
はあ、とレジーナ様はため息をついたけれど、私は結構好きだ。
白いレンガが積まれた壁に、チョコレート色の門。窓には、大きなステンドグラスがはまっている。まるでおとぎ話に出てきそうなお城である。
「到着いたしました。どうぞ」
御者の方が馬車を止め、扉を開けてくれる。
「うむ」
「感謝しますわ」
「あ、ありがとうございます」
膝の上からカバンを降ろすと、御者の方はそれを持ってくれた。
「あ、大丈夫です、自分で持てます!」
「いえ、マグヌス家へ移動されるとのことですので、私からしたらもう別家の方。つまりはお客様です。お客様にはおもてなしするのが私の仕事ですので、お気になさらずにどうぞ」
「イリス、行きましょう」
「レジーナ様、すみません。すぐに参ります!」
そっか……。私はまだファイ家の者のつもりだったけど、みんなからしたら、私はもう別家の使用人なのか……。
少し寂しくなったけど、きっと大丈夫。マグヌス家でも、居場所を作ってみせる!
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