5 有能メイドは魔術の練習に付き合わされる

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 気を取り直して、魔術改変開始だ。時々ルナールが思い出し笑いで噴き出すのは大目に見てやるとしよう。 「これが、色を変化させる魔術。この魔術のここを別の言葉に変化させてうんたらかんたら」  ん? んんん? 変化、改編、移動。ほかにもなんだかよくわからない言葉がつらつらと……。 「ルナール様」 「そうしてここが……ってなんだチビメイド」 「なにを仰っているのかが全く分かりません」 「またか。お前以前もこんなことあったよな。やっぱアレか、バカなのか」  可哀そうに、とルナールが憐みの視線を向けてくる。なによ。毎度のことながら失礼ね。  確かにルナールより頭は良くないかもしれないけど、もっと言葉をオブラートに包みなさい。オブラートに。はっきり言わないの。 「そんなことを仰られましても、わからないものはわからないのです」  そう断言すると、ルナールはさぞ面倒くさそうにため息をつき、砕いて説明してくれた。 「魔術には、それぞれ呪文がある。その呪文一つ一つの言葉には、その魔術を構成する役割がある。これはわかるな?そしてその呪文の一部を別の言葉に組み替えることで、新たな魔術を生み出すことができる。それが、今から俺たちがやろうとしていることだ」 「ほう」 「ほうじゃねぇよ。んで、その組み合わせを失敗すると、作ろうとしていたものと別のものになってしまう。例えば爆発を伴うような危険な魔術とか、な」  その言葉に既視感を覚える。そういえば、レガリス様がマグヌス家に来る途中で魔力の話をしていたことを思い出した。 「ということは、魔術の改編は、魔力融合の簡易バージョン、というわけですか?」  ハッと閃いたことを伝えると、ルナールはそれはそれは驚いた顔をした。 「まあ確かに似てはいるが……。チビメイドが魔力融合について知っているとは思わなかった。ただのバカではなく、グレードアップしたバカだったのか」  なんだか退化している気がする。それ、絶対褒めていないよね。
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