5 有能メイドは魔術の練習に付き合わされる

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「魔力融合については、少しだけ知っています。ところで、魔術改編はまだですか?待ちくたびれてしまいます」 「ああ、そうだったな。この魔術は、ここが肝だから、ここをこれにこうすれば成功するはずだ……」  試しに俺のインクで試してみる、と言うと、ルナールは自分のインク瓶から少しだけインクを取り出し、ペトリ皿のようなものに乗せた。 「持っとけ」  ぼんやりと彼が魔術を唱えるのを眺めている。  そして魔術を見るたびにお馴染みの、彼色の光が宙を舞う。  インクに触れたそれは、なにか特別な反応をするでもなくスルリと溶けてしまった。  しばらく待ってみるものの、なんら反応がない。 「あれ?」  互いにペトリ皿を見つめ首をかしげる。  もうしばらく待っていると、プスプスと小さく音を立て始めた。これは成功するのでは!?と思った矢先。  ボフン!!  小さな爆発を起こした。部屋の扉が閉まっていて、私たちのほかに被害者がいなかったことが幸いだろう。  二人そろって、顔が紫色の粉で染まっている。 「……っもう一度。次は成功させる」  悔し気にそういうと、ルナールは顔についた粉を手の甲でぬぐいながら、ノートになにやら書き込んでいった。
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