6 有能メイドは考える

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 何時間経っただろうか。あれからずっと魔術を実験しているが、一度も成功していない。いや、これでは語弊があるか。  魔術自体は成功しているものの、思ったような結果にならないのである。 「なぜだ……なぜ成功しない……?」  ルナールはというと、先ほど行った実験でインク自体を消失させてから、ずっとノートと睨めっこをしている。  恐らく、変化させる場所か呪文が、欲している魔術とぴったり当てはまらないのだろう。  そのため、求めるものと異なるものができる。 「試しに、私がペトリ皿を持って、そこに魔術をかけてみるのはいかがでしょうか」 「それもそうだな。実際、チビが触れていたときにかけた魔術は成功したし」  意外にもあっさりと引き下がる。手慣れた手つきでインクを広げ私が持つと、本を広げて呪文を唱える。  ひらひらと揺れた光がインクに吸い込まれると、じっとその先の変化を待つ。  すると。
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