まさかの移動

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*** 「ソーネチカ、長い間お世話になりました」 「うぅ……こちらこそ、イリス」  最後に挨拶したのはソルだった。彼女は大きな目からぽろぽろと涙をこぼし、ぺこりと頭を下げた。 「『ソネソネ☆チカッとダンス』、頑張るから見ててねぇ!」 「目に焼き付けるよ」  そう会話を終えると同時に、「イリス」と私を呼ぶ声がした。 「家政婦長(ハウスキーパー)」 「あなたは今ここにいるけど、もうすぐにマグヌス家へ行ってしまうのよね。寂しくなるわ」 「私もです」 「そろそろ出発だそうよ。用意なさいな」  カバンが右手にあるのを確認して、「あとでね」とソルに別れを告げる。  邸宅の門に出ると、家の者がそろって立っていた。なんと、使用人のトップである執事(バトラー)まで、そろいもそろって門の前に立っているのだ。 「やあイリス」 「レガリス様、レジーナ様」  主人であるお二人もいらしいて、ファイ家オールスターズの完成だ。 「ソルたちが例のダンスを披露してくれるそうだ。見てやってくれ」 「もちろんです」  こくりと頷くと、レガリス様は「ソル」と彼女の名を呼んだ。 「はい!いっつも元気!ソルです!」 「そのダンスメンバー、1です!」 「2です! 「スリーです!」 「おい!3っていうだろ!流れ的に!」 「んなもん知らんわ!」 「ほらほら!メンバー1,メンバー3!今日はイリスのお別れ会だから、シャキッとして!」  いつも通りのわちゃわちゃ風景。相変わらずすぎる。 「えー、イリスのお別れ会にお集まりの皆様!どーも!ソーネチカ・トナです!こんなときに自己紹介!?って思うかもだけど、私はイリスにずっと覚えててもらいいたいから、フルネーム言いました!」  ドヤっと胸を張るソルは、ちらりと私に目線を送った。ああソルかわいいね!ファンサありがとうっ!!大好きっ!! 「私たち『ソネソネ☆チカッとダンス』ダンス部隊は、今日、過去1の出来でチカッと踊ります!みんな見ててね!踊ってね!」  なにソネソネ☆チカッとダンス部隊って。そんなのあったんだ。 「ミュージックっ!スタート!」  ソルの掛け声に合わせ、テレレレン、とダンスの音楽が流れてきた。
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