或る蝸牛の災難

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先ほどの男の子より少し年長と見られる女の子がのぞき込む。 更に、最年少と思われる女の子のおでこも見える。 上からは男性が何やら困ったような声を降らせていた。 全部は無理だぞ? いくつか選ばないと。 生きるか死ぬかの選択なのだろうか。 某にはどちらの女神が微笑むのか。 えー、じゃあねー。 プラスチック容器が持ち上げられ、外に運ばれる。 べちゃびちゃぐちゃ。 いきなり逆さまにされ、振りおとされた我々は 土の上にばら撒かれ、散らばった。 痛覚はないが、心理的に、痛い。 おとうさーん、いくつまで? うーん、3…5匹が限度だろうなぁ。 じゃあねー、これ。 ポイポイポイッ。 何匹かの同朋と共に、某はまたプラスチック容器に戻されてしまった。 なんということだ。 やはり某の運命は此処で果てるのか。
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