或る蝸牛の災難

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紫陽花の葉と共に再びプラスチック容器に戻された我々は、やっと動き回ることができるだけの空間を得ることが出来た。 が。 恐怖で身が竦む。 殻の中に出来るだけ入り込み、己を護ろうと試みる。 あー、そりゃねぇ。あの扱いじゃ引っ込むわな。 なまえつけるー? ヤドカリの時みたくカラが入れ代わったらわかんなくなりそうだよね。 …。かたつむりは殻入れ代わらなくね? 一週間だぞー。死んじゃう前に逃がしてやれよ? もう!帽子の汚れ全っ然取れない!! 明日から野球帽被っていきなさいよっ! いろんな声が飛び交う中、 某はぷるぷる震えて縮こまっていたのである。
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