玉砕したふたりの翌朝

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 その光景を木の影から見てしまったのが、二人の恋路を結託して邪魔しようとしていたセレスティアとシルヴァンだ。  見事に揃って失恋した二人は、おんおん泣きながら肩を組んで酒場に入って散々傷を舐めあい、ベロベロに酔い、どうやらワンナイトラブをやらかしたらしい。失恋して自棄になった人間は、たいてい碌なことをしない。   (ねえ、こういうのって前世の記憶持ちの悪役令嬢とヒーローが結ばれるっていうのが、ストーリーとしての定石ってやつじゃないの?)  セレスティアは叫びたくなったものの、残念ながらそんな定石はこの世界には通用しないらしい。  あれだけ必死に努力したことがすべて水の泡になり、挙句の果てに悪友とワンナイトラブをやらかした。こんなのあんまりだ、とセレスティアは頭を抱えたくなる。 「シルヴァンの王子暗殺事件は未然に防いだし、悪役令嬢っぽく徒党を組んでファナをいじめたりもしてないのに、なんでこうなるのよぉ……」 「んー……」  その時、眠っていたシルヴァンがくぐもった声を上げた。ヤバいと思って絡まる手足を解こうにも、シルヴァンの割と逞しい腕がガッチリホールドしている。動けない。  
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