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シルヴァンは気まずそうに視線を逸した。責任を感じているらしい。セレスティアは、昨晩の記憶が一切ないため、正直なところ実感がわかない。
「そのことだけど、私、シルヴァンと昨晩何をしたのか全く覚えてないの。だから、気にしないで。シルヴァンも忘れてちょうだい」
「は?」
シルヴァンが目を剥いた。セレスティアは香ばしいバケットを齧りながら、首を傾げる。
「だから、忘れてって」
「もしかして、昨日のこと、何も覚えてないのか? 言ったこととか、全部……」
「ええ、まあ。私、貴方も知っていると思うけど、酔ったら記憶を失うタイプだもの」
「そうだった……」
シルヴァンが頭を抱える。「マジか……」という呟きも聞こえた気がしたが、セレスティアは気にせずコーヒーを飲んだ。
「記憶になければ何もやってないのと一緒よ。シルヴァンもさっさと忘れちゃいなさい」
「お前、それは暴論すぎるだろ!」
「そっちの方がお互いにとって都合がいいわ。責任を取ってほしい、とか言うつもりもないもの」
「責任は取るつもりだったんだが……」
「えぇ?」
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