悪友の礼儀

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 突然の一言に、セレスティアは怪訝な顔をした。冗談かとシルヴァンの整った顔を見つめるが、当の本人は大まじめだった。   「当たり前だろ。俺が不用意な行動をとったのが原因なんだから」 「別に、昨日のことはまあ、事故みたいなものだし、そこまで重く考えなくても結構よ。今の時代、結婚するまで律儀に処女でなければダメ、なんてこともないんだし」  この王国では、自由恋愛が貴ばれており、結婚まで純潔を守り通さねばならないという風潮はとうの昔に廃されている。  実際、「薔薇園の秘密のシンデレラ」でも、レイモンドとファナは結婚前に初体験を済ませてハッピーエンドで終わっていた。 (あーあ、これからあの二人はラブラブでイチャイチャな夜を過ごすんでしょ? それに引き換え、私は酔って悪友とワンナイト……。それで、王子様に婚約破棄された令嬢、というレッテルを貼られて、碌な結婚もできやしないわけで……。最悪だわぁ……)  悪役令嬢という立場に転生してしまったとはいえ、ちょっと不遇すぎるのではないか。この世界というのは、とことん主人公に有利にできていて、不公平だ。  
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