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遠い目をするセレスティアだったが、シルヴァンは納得いかないらしい。
「お前は……それで本当にいいのか?」
「別に、いいって言ってるでしょ」
「こら、自暴自棄になってるだろ。ちゃんと考えろ!」
「考えろって言われてもねぇ……」
セレスティアは、皿の上のソーセージにフォークを突き刺す。
レイモンドとフィナは結ばれてしまった。そもそも、セレスティアがふたりの恋路を散々妨害していたのは、レイモンドの婚約者であるセレスティアにも、チャンスがあるはずだと思っていたからだ。
だが、レイモンドとフィナが結ばれてしまった以上、悪役令嬢セレスティアはここで退場だ。真剣に愛し合うふたりを邪魔するほどセレスティアも野暮でもない。
(前世でレイモンドルートを何度もやりこんでいるから、フィナとレイモンドがくっついた後、どれだけラブラブになるかも知ってるしね)
どう考えても、セレスティアの出る幕はなかった。
しかし、セレスティアが納得しているからと言って、シルヴァンがそうだとは限らない。おそらく、セレスティアが「責任取って」と言うまで、シルヴァンは引かないつもりなのだろう。
セレスティアは頬に手をあててため息をついた。
「そこまで言うんだったら、シルヴァンの好きにしてちょうだい。でも、本当に気にしなくていいから」
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