ルーザートン侯爵家

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(よく考えたら、前世の乙女ゲームの記憶を駆使して、行く先々で出没したんだもの。厄介なストーカーみたいなものよね。気持ち悪がられても全然おかしくないわ。っていうか、それが普通よ……。何してたの、私……)  今となっては、あれほどレイモンドに入れ込んでいた自分が恥ずかしい。穴があったら入ってそのまま100年ぐらい閉じこもりたい気分だ。  せめて多少は失恋した感傷に浸りたいと思うセレスティアだったが、現実にはそうもいかない。  王族であるレイモンドと侯爵家の娘であるセレスティアの結婚は、政略結婚だ。家と家の結びつきの為の結婚である以上、両親への報告は必須となる。 「お父様、お母さま、私は婚約破棄されましてよ」    セレスティアはレイモンドから婚約破棄されたことを、両親に告げた。  ルーザートン侯爵夫妻は、レイモンドの突然の婚約破棄に大いに困惑し、従者たちを巻き込んでのハチの巣をつついたような騒動になった。
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