ルーザートン侯爵家

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 セレスティアは「ちょっとひとりにしてほしいわ」と豪奢な自室からメイドたちを無理やり下がらせ、赤い天鵞絨張りのソファに寝転がって額に手をあてた。 「ああもう、騒がしいんだから……」    一世一代の大失恋をしたのだから、多少は落ち込む時間があるかと思ったのだが、そんな余裕など与えてはもらえないらしい。  そもそも、大失恋した夜に悪友と一夜の過ちを犯してしまったのだ。失恋の痛手など、一瞬でどこかに吹き飛んでいる。  セレスティアはため息をついた。   「ああ、これからどうしよう……」    自分から新たな結婚相手を探しに外へ繰り出そうにも、残念なことにセレスティアは友達らしい友達がシルヴァンくらいしかいないため、それもなかなか難しい。  当のシルヴァンはレイモンドとファナが結ばれ、ファナに片想いしていたシルヴァンも失恋したため、セレスティアとの共通の話題もなくなった。つまり、セレスティアとシルヴァンの関係も、これきりというわけだ。 (シルヴァンと言えば、責任を取るとか言ってたけど、あれはどういうことだったのかしら……)
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