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責任を取りに来た男
「セレスティア、責任を取りに来たぞ」
「えっ、どういうこと? 責任?」
まったくもって意味が分からない。
とりあえず差し出された花束を受け取ったセレスティアは、目を瞬かせた。シルヴァンは胡散臭いまでの微笑みを浮かべる。
「セレスティア、俺と結婚前提で婚約してくれ」
「はぁ!?」
「責任を取ると言ったのは俺だ。自分の言ったことを反故にするつもりはない。そして、お前は俺の申し出に了承したはずだ」
きっぱりと言い切るシルヴァンに、セレスティアは軽く眩暈を覚えた。たまたま一部始終を見たメイドが「お花を飾りますね!」と満面の笑みで花束を受け取り、そそくさと部屋を出て行く。きっとおしゃべり好きのメイドのことだから、すぐに屋敷の他の者に言いふらし、あっという間にこの話題が広まるに違いない。
セレスティアは額に手を当てた。うっすら頭痛がする。
たしかに「責任を取る」と言われ、仕方なく了承した覚えはある。しかし、婚約する気だったなんて一言も聞いていない。
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