玉砕したふたりの翌朝

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 依田はレイモンドにガチ恋していた。金糸のような輝く髪に、キラキラした藍色の瞳。いかにも王子様然とした見た目のレイモンドが、タイプだったのだ。好感度ごとに変わるイベントスチルを集めるのに、レイモンドルートを何度周回したかわからない。    しかし、依田は社畜だった。よく回っていない頭で出勤したある朝、うっかり会社の階段で足を踏み外して異世界に飛ばされたのだ。  そして、よりにもよって悪役令嬢セレスティア・ルーザートンに転生してしまった。 『せっかく乙女ゲームの世界に転生したんだから、なんたったって、セレスティアはレイモンドの婚約者なんだから!』    そう決意して、セレスティアは自分が悪役令嬢と分かっていながらも、レイモンドと結ばれようとあらゆる策略を巡らせた。それこそ、悪役令息のシルヴァンと手を組んでまで。  しかし、つい昨晩、レイモンドがファナに薔薇園でプロポーズするという「薔薇園の秘密のシンデレラ」でお馴染みのイベントが発生。ファナは美しい碧眼に涙を浮かべながらプロポーズを承諾し、レイモンドとファナはついに結ばれた。
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