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「ちょっと待って、シルヴァンはファナのことが好きだったわけでしょ」
「ファナちゃんはレイモンドのヤツと結ばれただろう。大変不本意な結果だったが、俺はファナちゃんの幸せを奪うつもりはない。ということで、お前と結婚しても問題ない」
「どういう理論よ……」
だが、荒唐無稽は話に聞こえるが、セレスティアにとってありがたい話ではある。
マケナリー家とルーザートン家は家門が釣り合っているし、政治的にも中立を保っている両家の結婚は至極妥当なものだ。これから先「王族になり損ねた令嬢」という嫌なレッテル貼られる予定のセレスティアにとっても、ありがたい話ではある。
(だからって、いきなりシルヴァンが婚約者になるなんて……)
心の整理ができていないのはもちろんだが、一晩の過ちの対価としては、あまりに破格すぎる気がする。
「まあ、この話は悪い話ではないはずだ。お互い、すでに身体を知り尽くした仲だしな」
「だから、あの夜のことは覚えてないって言ってるでしょ!」
セレスティアは顔を真っ赤にして怒鳴る。その時、騒ぎを聞きつけた両親が部屋にやってきた。
「珍しくセレスティアにお友達が来たと聞いたから挨拶をしようと思ってきたら、これはいったいどういうことなの!?」
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