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いきなり現れた男の素性がマケナリー家の嫡男だったことを知り、両親はとりあえずほっとした顔をする。マケナリー侯爵家は、宰相や大臣を多く輩出する格式高い家柄であり、大貴族だ。身元がはっきりした相手だと、ひとまず安心したのだろう。
「おぉ、マケナリー侯爵家の! 侯爵にはいつも世話になっている。まさか、ご子息とセレスティアが友人同士だったとは」
「ええ、セレスティア嬢とはもう長い付き合いでして……」
そこからシルヴァンは、スラスラとセレスティアとシルヴァンが「どういう関係」なのか両親に説明し始めた。
聡明なセレスティアに出会ったのはとあるパーティーの席で、それから二人は王宮の図書室で時々言葉を交わすうちに、親しく弁論を交わす仲になった。そのうちに、聡明なセレスティアに惹かれるシルヴァンだったが、セレスティアにはこの国の王子レイモンドと婚約していたため、その秘めたる想いは告げられずにいた――、らしい。
「しかし、セレスティア嬢の婚約者がいなくなった今、俺はこの想いを告白しても構わないと思い、セレスティア嬢のもとを訪れたのです」
「まぁ、そうだったの!」
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