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順調な交際
婚約者同士になったシルヴァンとセレスティアの交際は、順調そのものだった。
両家の顔合わせとなる食事会も和やかな雰囲気で終わり、周囲にも婚約したことを少しずつ伝えている。公の場には婚約者として連れ立って出席することも多くなった。意外にも王子に婚約破棄されてすぐにシルヴァンと婚約したセレスティアへの否定的な意見は聞こえてこず、「あの浮気者の王子に愛想を尽かして正解だ」という肯定的な声ばかりだった。
そんなこんなで、徐々にセレスティアは「第一王子の婚約者」ではなく「マケナリー家嫡男の婚約者」として周知されつつある。
「こんなに順調でいいのかしら」
大通りに面したカフェでアイスティーを飲んでいたセレスティアは、小さくため息をつく。グラスの中のアイスが溶けて、からんと涼しげな音が鳴った。
今日は、「普通の婚約者同士らしく」シルヴァンとデートだ。シルヴァンが連れて来たカフェは、いかにも貴族令嬢たちが喜びそうな可愛らしい店で、多くの客で賑わっている。
目の前で足を組んでいたシルヴァンはにっこりと微笑む。
「諸々の段取りは完璧だ。お前は何も心配する必要はない」
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