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カフェを出たセレスティアは、シルヴァンの紳士的なエスコートで大通りを歩いて行く。もちろん、婚約者同士らしくしっかりと手は繋がれている。
(シルヴァンったら、本当に何を考えているのかしら……。こんなことされたら、勘違いしそうになるじゃない)
嬉しくないわけではないが、シルヴァンが何を考えているのか、さっぱりわからない。
しかし、思えばシルヴァンは長らくファナに片想いをしていたのだ。大切なファナにしてあげたかったことを、セレスティアにしてくれているのかもしれない。そう考えると、シルヴァンが女性の好みそうなカフェにやたらと詳しいことも、女心をくすぐるような贈り物をしてくることにも納得がいく。
ずっと友人としてシルヴァンと一緒にいたのだ。シルヴァンがどれほどまでにファナのことを好きだったか、誰よりも分かっている。
(そう思うと、少しファナが羨ましいと思ってしまうのは、私が嫉妬深いからなのかしら……)
美しいファナのことが、脳裏に浮かぶ。夜空を駆ける星々のように美しい銀髪に、エメラルドグリーンの透き通った瞳の美少女は、微笑みひとつで簡単に男たちを魅了した。
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