玉砕したふたりの翌朝

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(ああ、シルヴァンって着痩せするタイプだったのね。脱いだらすごいタイプ……)  悪役令息という立場故、ゲームの中では散々な目に遭わされるシルヴァンだが、その顔は整っていて、黙っていれば文句なしの美形だ。艶のある長い黒髪も、彼の冷たい容姿に神秘的な印象を与えている。  シルヴァンに熱を上げる令嬢たちも多く、「シルヴァン様の婚約者になりたい!」と令嬢たちの間でよく話題になっている。おそらく、ファナに現を抜かさなければ、結婚相手なんて選び放題だろう。  冷静にそんなことを考えながらしげしげとシルヴァンを観察していると、切れ長の瞳がぱちりと開いた。数々の令嬢たちが「あの冷たい瞳がたまらない」と騒ぐ、サファイア色の瞳が至近距離でセレスティアを映す。 「あー、セレスティア……?」    目覚めて一瞬で、シルヴァンは(これはどういう状況だ?)という顔をして、それから(なるほどすべてを理解した)と納得したあと、ぎこちなくセレスティアを自分の腕の中から解放する。 「ヤっちまったなぁ……」
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