玉砕したふたりの翌朝

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 マケナリー家のタウンハウスは、かなり広々としていた。落ち着いたベージュを基調とした壁紙に、大理石の床。センス良く配置されている家具は、重厚感のあるアンティーク調だ。  シルヴァンが言ったとおり、廊下の突き当たりに浴室があった。猫足の白いバスタブに湯を張り、シャワーで身体を流して湯船に浸かる。湯加減はちょうど良く、心地よい。  セレスティアは改めて自分の身体をまじまじと見た。あちこちに、キスマークが散っている。 (ええ、こんなところにも……、ここにも!? しかも噛み痕らしき歯型まであるんだけど!)    いつもは冷静沈着なシルヴァンだが、見た目に寄らず荒々しい抱き方をしたらしい。あの仏頂面がどんな顔をしてセレスティアを抱いたのかは、興味があった。  しかし、どんなに頭をひねっても、昨晩のことは思い出せなかった。セレスティアは、限界まで酒を飲むと記憶が飛んでしまうタイプだった。 「……まあ、確実に私の黒歴史になるでしょうし、これでよかったのかも」  
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