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少女になりたての永遠の顔が、待ち焦がれた星明かりに包まれていく。
広い場内は満席に近い。何種類もの溜息が聞こえる中、プラネタリウムの解説が始まる。
大停電で街の灯が消え、身も心も凍えるなか、ひときわ星が輝く夜だったそうだ。燦然ときらめく星々のもと、傷ついた人や街を思うと、永遠の胸は痛みで軋んだ。
隣の席に座る永遠の母が、バッグを開いてハンカチを取り出した。かける言葉が見つからず、永遠は腕を伸ばして母の指に触れた。繋ぎ合った手は、温かく力強い。
永遠は、記憶にない震災の夜に戻った気がした。
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