謎の男子

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謎の男子

私はノア・スミス。 今日はスパイ養成学校高等部の入学式。 とは言っても体育館に移動するだけだ。 ここは全寮制のスパイ養成学校。 通常初等部からのエスカレーター式で、私は幼少部から通っている。 私は、他の部屋を足早に通り過ぎていった。 体育館に着いた。 そして、音もなく指定された自分の席につく。 まわりから話し声が聞こえる。 「あれが白夜か…」 「学力も体術も最高レベルなんでしょ?」 「そうそう。でも一匹狼みたいな人だから近  づけないんだよね」 「白夜のパートナーになる人」 「なんか噂だけど、外部から来た人らしい  よ」 その声に私は反応した。 前も言った通り、通常は初等部からのエスカレーター式だ。 ごく稀に、中等部から入る人もいるが…… 高等部での事例は初めてだ。 聞いたことがない。 どんな人なんだろう。 パートナーというのは、高等部から実践訓練が始まり、そのときに行動を共にする2人組ペアのことだ。 そう思った途端、空気が変わった。 緊張感があるような、嫌な空気だ。 このような空気に変わったということは、入学式が始まるということ。 『入学式を開会します。新入生、起立!』 その合図と同時に、バッと一斉に椅子から立ち上がった。 そのときも、何も音はしなかったはずだ。 『礼!』 これも起立する時と同じで、一寸の狂いもなく礼をした。 このような動作は初等部から叩き込まれてきているから、反復動作として覚えている。 マスターの話のあと 『それでは、武器の授与に移ります』 武器の授与は他の高校ではしない。 なぜこの学校では行うのか。 答えは簡単、討伐するときに必要だから。 敵の抹殺もスパイの仕事のうちだ。 そのときに必要になる。 武器は中等部での訓練の時にマスターが決める。 「白夜」 名前が呼ばれた。 視線が私に集中しているのがわかる。 少し怖い。 視線が、マスターから手渡された武器に集中している。 ()()は、みんながもらいたくはないものだった。 「さらなる活躍を期待している」 私は無言でマスターに礼をして、壇上を降りた。 私の武器は……刀。 持っていることがバレる可能性は高いが、殺傷能力はダントツの高さを誇る武器だ。 私が席に着くと、マスターが名を言った。「雲霄」 聞いたことのない名だ。 誰だろう。 周りの雰囲気を見るに、みんな知らないらしいな。 私の記憶が間違えているようではないな。 そう呼ばれて上がってきたのは、1人の男子だった。 その人…雲霄の武器はナイフ。 使い勝手が良く、殺傷能力も刀と並ぶほどだが、コンパクトで隠すことも容易い。 まぁ、スパイにとって優れた武器だ。 その後も武器の授与は続き、入学式も滞りなく終了した。 『新入生は、各自自分の在籍する教室に行きなさい』 その合図と同時に、私は在籍する教室へ向かった。
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