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 やはりタージは自分が危ないことに気付いていたのだ。ムスタファに余計な心配をかけまいとして笑って見送った。ハムザはそんな彼の意思を尊重しようとしたが、書簡を送ってくるほどの危機を感じたのだろう。  ムスタファは馬に飛び乗ってすぐさま王宮に向かった。  またしても無力な自分を責めた。いつもあとになってから気付く。ナシルにタージを殺せと言われた時の違和感を放置しておくべきではなかったのに。タージが笑っていても「お前しかいない」と泣いていた彼を思い出せば、離れてはいけないことくらい分かるのに。  同時にタージがムスタファに気を遣ったことに腹も立った。素直に「行くな」と止めて欲しかった。やっと信頼されたと思っていたのに、肝心な時に頼ってくれない。ガイドとしての能力は信頼してくれていても、人間としては心から信頼していないのだと言われているようで悔しかった。
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