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タージはそれには何も言わず、ただ無言でムスタファに抱き付いた。感謝の気持ちが伝わった。体を離したタージは一番見晴らしのいい場所まで進み、深呼吸をして美しい街と遠くに広がる荒野を目下に佇んだ。
「みんなが幸せになる国にする。俺がこの国の、王なんだ」
――その後、正式に国王として即位したタージは己の信念を曲げることなく国をまとめ上げ、その誠実で堅実な姿勢を国内からも国外からも高く評価された。
ムスタファはそんな彼を側で支え、より安心して政務に取り組めるようセンチネルとガイドの能力を公表して専用の教育機関を設けることで有望な人材を増やすことに成功した。
タージとムスタファが立て直した国は王朝で最も栄えた時代となり、「忌み子と呼ばれて追われた王子が国王として名を上げた」という説話とともに、長く歴史に刻まれることとなる。
了
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