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家を出て電車に乗る為に徒歩十分程の距離にある最寄り駅まで歩いて行く。私が働いているのは笹葉ホールディングスという国内大手の製菓会社で、営業課に配属された私の仕事は商品の受発注や管理、在庫や納期管理、請求書や資料作成が主な仕事。
その他に社内会議の資料や顧客へのプレゼンテーション資料の作成の手伝いとか、顧客からの電話応対なんかもやっている。
一日の大半PCに向かっている事もザラではないけど、元からPCは使い慣れているし高校では商業科を選択していた事もあって苦ではないし、ひたすら何かに没頭するという事には特化していると思う。
それに、入社当時はミスをして上司や教育係の先輩から叱られた事も沢山あったけれど、年月を重ねる毎に職場での私の評判は上がっていると思っている。大きなプロジェクトのメンバーに加えられた事もあるし、上司から頼まれて新人の教育係を務めたりもしているから。
「汐海」
会社に到着し、更衣室で着替えた私が営業課のフロアにある自分のデスクに座ると真っ先に声を掛けてきたのは、少しパーマがかった黒髪フェザーマッシュスタイルに細身タイプでグレーのストライプスーツを身に纏った同期の笹葉 楓だった。
「笹葉くん、おはよう。何?」
「昨日頼んでおいた資料の事だけど、この数字、間違えて無いか?」
「え? どれ?」
指摘された資料と纏めるのに使った資料を当時に確認してみると、確かに数字が違っていた。
「本当だ、ごめん! すぐに直すね」
「いや、間違いが確認出来れば良いんだ。後は自分で直しておくから」
「そう? ごめんね、ありがとう」
彼は一人納得すると、早々に席に戻って行った。
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