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「それにしても実玖先輩、本当に興味無いんですね、笹葉先輩の事。あ、笹葉先輩に限らずか……。先輩、勿体無いですよ?」
「勿体無い?」
「先輩可愛いのに、彼氏もいないなんて……枯れるにはまだ早いですよぉ」
「枯れるって……」
「そうだ! 先輩も一緒に今度合コン行きましょうよ~」
「嫌よ。私、そういうの苦手だし。それに温子ちゃんの行く合コンって相手年下じゃない」
「えー? まあ先輩からしたら年下かもしれないですけど、年齢なんて問題無いですって!」
「いやいや、相手だって若い子の方がいいでしょうよ」
合コンなんて、冗談じゃない。年齢云々はこの際どうでもいいにしても、そんなものに時間とお金を使う余裕はないし、無駄な事に時間とお金費やすくらいなら漫画や乙女ゲームを大量に買い込んで引きこもっていたいもの。
「もう、先輩ってばぁ。そんな事言ってるとどんどん良い出逢いを逃しちゃいますよ?」
「いいわよ、別に」
「婚期も逃しちゃいますよ?」
「もう既に手遅れよ」
「まだ平気ですって! ね? 先輩ってばぁ」
どうしてみんな、そんなに彼氏が欲しいのだろうか。結婚に憧れるのだろうか。
まぁ私だって、乙女ゲームのような恋愛に憧れを抱く事はあるし、イケメンと恋をして幸せな時間を過ごせたら……なんて、夢だって見る。
けど、そんなのはあくまでも二次元の世界だから成り立つ事。
実際の恋愛なんて、お金も時間も自由もなくなるだけで良い事なんて一つも無さそうだし、結婚なんて恋愛以上に自由が無くなってしまうだろう……。そんなの、地獄みたいなものだ。偏見かもしれないけど。
「とにかく、私は別に彼氏がいなくても困ってないから大丈夫。さ、そろそろお昼休み終わるから戻ろう」
まだ何か言いたげな温子ちゃんを宥め、私たちは屋上を後にした。
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