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《1》誰もこんな結果なんて望んでない
「…ん」
今日も朝が来てしまった。目覚めたくもなかった朝を迎えた私ことイレーナ。いやまだ寝ててもいいかと呑気に考え始める。
「…二度寝でもするかな」
そして二度寝の体制に入った途端、
「お嬢様!!!」
バンッ!とドアを開けて入ってきたのは私のメイドことマリアだ。
「お嬢様、学園に遅れます…よっと!」
「うぎゃっ」
乙女らしからぬ声をあげた私は、マリアに布団をとられベッドの下に落ちていく。いつもの事なのでマリアを咎めたりはしないが、お願いだからもう少しいい起こし方はなくって??
「ほら、駄々をこねないで学園に向かう準備をしてくださいっ」
「えーー…」
「シャキッとしてください!!もう婚約者様が来ていらっしゃいますよ!!」
(余計行きたくねぇ…)
そんなことも言ってられず、マリアによって私は学園へ行く仕様になっていく。楽しそうに私を着飾ってくれるマリアを見ながら、私は物思いにふける。
私の婚約者、シグノア様とは良くも悪くもなく。ただ彼は誰に対しても冷たく、あまり感情を表に出さない方だ。婚約した頃は、私も仲良くしよう、好きになろうと頑張っていたが、数日で諦めた。無理だものこの人。顔に出さないから良いか悪いか分からないし、あまり喋らないし。ただ、記念日にはきちんとプレゼントをくれます。前回の誕生日なんか、最近女性に人気なネックレスをくださったのです!そしてこの間の舞踏会でも、丁寧にエスコートしていただきました。
…いやほんとに婚約者様のお気持ちが分からない。何がしたいんだ。
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