《0》婚約者の心が知りたい

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《0》婚約者の心が知りたい

世の中は、第二王子が婚約者と婚約破棄して異世界から来た聖女と婚約。聖女を虐めていた罪として追放された元婚約者が実は無罪で、第一王子と結託して第二王子と聖女を断罪。そしてめでたく第一王子と第二王子の元婚約者が結婚したという重大事件が持ち切りだった。 しかしそんなものはどうでもいいと、今日も今日とてイレーナ・ベルターニャ子爵こと私は悩んでいた。 「…婚約者様は今日も冷たい」 私の婚約者、シグノア・ラーツ公爵。彼は学園でも『氷貴公子』の異名で名高い、誰に対しても冷たい人である。生徒会長を勤め、成績優秀、スポーツ万能、そして眉目秀麗。ファンクラブまであるという始末。私にはもったいないぐらいの婚約者であった。 私たちが婚約を結んだのは3年前。私15歳、シグノア様18歳の時だ。ベルターニャ子爵は特別富んだものもなく、至って普通の子爵。未だになぜ階級の低い自分を指名したのか分からない私である。 「…シグノア様のお心が知りたいわ」 何気なく呟いた私この言葉、のちのち後悔するとは思いもしなかった。
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