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「来月の親族会議で、いい加減決着をつけなくてはね。誰がこの家の爵位を受け継ぐのか、そしてどのような殿方を迎え入れるのか。爵位を引き継げなかった者は、嫁入り先もいい加減決めないといけないし。貴女もそろそろ、その候補者くらいは考えてるんでしょうね?お父様とお母様も何も考えてないわけじゃないでしょうけど、いかんせん二人は貴女たちに甘いものだから」
来月。
確かに親族会議が予定されている。パール家の分家の者達も集まって、この家の跡取りを誰にするのか真剣に話し合うことが決まっているのだ。
ずきり、と胃が痛んだ。完全にストレスである。
両親はまだ、誰を跡継ぎにするのか完全に決めかねている。その結果、ダリアにもデイジーにも考えをほとんど話していないのだろう。ただどっちを選んだとしても、泥沼の争いになることは避けられないはずである。
どちらに着いた方が得か。どちらの方が自分達を優遇しているのか。親戚も使用人も、そのあたりの腹の探り合い状態であるはずだ。自分もメイドや執事たちからそれとなく話を振られることがある。それは少なからず、彼等がシンシアのことなど眼中にないからだろうが。
「シンシア、貴女も考えないと」
「け、結婚はその。私はまだ、そう言うの考えたことないし。できれば好きな人と結婚したいって気持ちもあるし」
「それはわからないではないけれど、恋愛結婚なんて夢はあまり見ない方が良くってよ。そりゃあ、結婚で家同士の結びつきを深めるなんて時代遅れという人もいるけど……やはり親戚同士になることで結束が深まるのは事実ですから。少しでも有益な家から婿を貰ったり嫁入りすることを考えなければ。できれば横と上に広げたいけど、将来有望な事業をやっている家柄ならば男爵階級でも問題ないような気がするしねえ」
それに、とダリアは微笑んで言う。
「わたくしが言っているのはそれだけではなくってよ。最終的に跡継ぎは皆の投票によって決まることになるはず。シンシア、貴女もわたくしに投票する決意を固めなさい。そうすれば、わたくしがいつまでも貴女を守ってあげるわ」
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