「少年探偵団」シリーズ、戦前の動きは?

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「少年探偵団」シリーズ、戦前の動きは?

  戦前、江戸川乱歩の「少年探偵団(しょうねんたんていだん)」シリーズは、講談社の少年向け月刊誌「少年倶楽部(しょうねんくらぶ)」に連載。  空前の人気を記録し、連載終了後、講談社より単行本として刊行された。  『探偵小説四十年』では、読者の子どもたちから次々とファンレターが送られてきたことを語っている。  1936年(昭和十一年)より一月号~十二月号の一年間連載完結のスタイルで全四作が執筆されている。  名探偵明智小五郎の少年助手、小林芳雄と少年探偵団が、高価な美術品専門の盗賊、怪人二十面相(かいじんにじゅうめんそう)と対決する児童向けミステリーである。  第三作『妖怪博士(ようかいはかせ)』のラストで、二十面相は明智小五郎と少年探偵団への復讐に失敗し、奥多摩(おくたま)の鍾乳洞で逮捕される。  そのため第四作『大金塊(だいきんかい)』には二十面相は登場しない。  なお全四作で終了したのは、日華事変の長期化により、乱歩の作品は戦争遂行には何ら役に立たないと内務省(ないむしょう)よりにらまれ、出版社側が自己規制したためである。  乱歩の莫大な収入源となっていた「少年探偵団」シリーズの単行本も増刷が見送られ、通俗長編の連載や単行本の増刷もなくなり、乱歩は経済的に苦境に陥ったのである。 『怪人二十面相』(「少年倶楽部」1936年一月~十二月号) 『少年探偵団』(「少年倶楽部」1937年一月~十二月号) 『妖怪博士』(「少年倶楽部」1938年一月~十二月号) 『大金塊』(「少年倶楽部」1939年一月〜1940年二月号)  ↓「少年探偵団」シリーズ第一作『怪人二十面相(かいじんにじゅうめんそう)』  (1975年 講談社「少年倶楽部文庫」)  戦前、講談社の「少年倶楽部」に連載された作品群を戦前の体裁で挿絵ごと復刻。表紙絵と挿絵は小林秀恒(こばやしひでつね)85c26f78-3d07-43aa-ac36-62ccda371bd2          
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