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第39章 暗黒VS炎
(一万度って、太陽より熱いだろ……。ていうか、例えスーツ?が耐えれたとしても、オレが蒸し焼きになるじゃねえか!)
徳男は、だんだん腹が立ってきた。
それは、眼の前のホムラに対してではなく、常に上から目線で理不尽な命令をしてくるライトマンに対してだった。
そして、その不満、怒り、憤りが、暗黒のパワーとなって噴出した。
「うるせー! じゃあ、おめーがやれよ!」
徳男は、両手を一気に挙げて、勢いよく万歳をした。
その瞬間。
どおおおおおおーーーーーーん
「ぬおっ」
真っ黒な柱が、まるで滝を逆上していくかのように立ち上った。
―ほう、やればできるではないか。クズはやはり痛めつけねばならんな。
その暗黒の柱が、真っ赤に染まった富士宮市の中にぽっかり空いた穴の様になった。
「やかましいわーーーーーーーーーー!」
ホムラは、眼の前に突如として現れた黒い柱に、一瞬だけ驚いた。
「……で?」
驚いただけだった。というのも、別に攻撃の技になっている訳でもなく、火が消えた訳でもない。
ただ、黒い電信柱が立っただけである。しかも、富士山をも超える様な高さは、無駄としか言いようがなかった。
「で……って言われても」
ただ単に、暗黒パワーが爆発しただけだった。
「いや、別に。恐くないなって」
微妙な空気が、二人の間に流れた。
―おいポンコツ。何をしておる。さっさと、その暗黒パワーを使って攻撃せんか! 全く役立たずが。孫悟空みたいに、やらんか! カメハメなんとか。
「るせー! マンガのキャラと同じにする……な?」
そのディスりが、徳男のニート魂に火を着けた。
「カメハメ……。ああ、そうか」
独り言を言っているかのような徳男に、ホムラが気付いた。
「……そうか、あいつに操られているという訳か。ならば、余計に今ここで殺さねばならん」
それまで、微妙に徳男を侮っていたホムラが、腰を低くして正拳突きの姿勢を取った。
「そ、そう来たか。じゃ、オラも」
なぜか、徳男は孫悟空のパクリをして、腰を低くして両掌を合わせ、狙いをホムラに定めた。
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