第24章 チューして💘

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第24章 チューして💘

 明美は、顔を捻じ曲げながらも徳男の話を聞いていた。 「で? 何の褒美が欲しいのよ」 「あ、あのさ。そ、その」  よくよく考えてみると、相手は一回りも年下の若い女である。  徳男が全身黒タイツになっていなければ、明らかにパパ活か?と思われるような間柄と光景である。 「だから、さっさと言いなさいよ。あんたのそういうところ、マジでイラつくんだけど」 「じゃあ、言うよ。ちゅちゅちゅ、チューして💘」  思わぬ一言に、明美は目が飛び出るほどの驚きの表情をした。 「はぁ? チューしてって? あんた口ないじゃん。ていうか、口ないのに喋れるの不思議だわ、今更だけど」  意外に冷静な突っ込みだった。 「い、いや、口じゃなくて良いんだ。ほっぺとかに、ちゅって。よくあるやつでさ」  徳男の精神構造というか発想の根本は、漫画とアニメの二次元世界である。  その二次元の世界で見た光景をやってほしいというのが、徳男のお願いなのだ。ところが、リアルの世界でしか生きてこなかった明美は、腑に落ちない表情をした。 「あ、そ。そんなんで良いのなら、良いわ。ただし、一回だけ。それが終わったら、永遠に他人になること。良いわね?」  要するに、一度ほっぺたにキスをしてもらったら、捨てられるということだと、さすがの徳男でも理解することができた。  しかし、今の状況、元々の自分を考えても、女子にキス(あくまでホッペだが)してもらえることは、人類が月に到着するほどの画期的な出来事なのだ。 「わ、分かった。やる、やるよ。で、誰をやれば良いの?」
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