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きっとこれが一緒に住む最後の機会だと思います
父だと思っていた人とは私が15歳の時に離婚していましたが仕事のパートナーだと離婚後も一緒にいました。
私が家を出たあと、殴られることは無くなりましたが父が背後に立つだけで意思とは無関係に体の震えが止まらなくなっていました
最後に会ったのはいつなのか、、
出産祝いに10万円送られてきました
小さい頃はほんとによく遊んでくれました
ゴルフの打ちっぱなしに連れて行ってくれたり、釣りに連れて行ってくれたり、厳しさもあったけど優しい人でした
母と父と山登りに行くこともありました
幼稚園の頃など岩がゴロゴロする急斜面は怖かったけど父が励ましながら押してくれたのも覚えています
怖かったのは母と二人での登山でした
真夜中に起こされ夜行列車で遠くの山に行きました
母は自分のペースを消して崩さないので私はいつも泣きながらついていきました
置き去りにされる事もよくありました
本当に怖かった
母が私に背を向けていたので父が相手をしてくれました
竹から竹馬や竹とんぼを作ってくれたこともありました
父が変わってしまったのは仕事で独立した後上手くいかなくなった頃からのようです
ここに来た時お父さん元気かなって母に聞きました
いつか父とも笑いあえたら、そんな気持ちもありました
母は言いました
「言ってなかったっけ?あの人、実家に戻って一人で暮らしていて。滅多に行かないお姉さんがたまたまその日行ったら死んでいたって。前日のことだったらしい、虫の知らせというのかな、孤独死だって」そう淡々と無表情で話す母に無情さを感じました。
会いに行けばよかった
また会えると思っていた
会えたら何を話しただろう
何も言葉にはならなかったかもしれない
それでも会いに行けばよかった
そう思います。
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