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13歳で家を出て、外の世界で家族よりも家族である人たちと出会い、いつか本当の家族を築いて幸せに生きたいと思っていました。
18の頃出会った彼は芯があって強いひとでした。
死ぬまで一緒にいたかった。
だから19歳で妊娠した時は心から嬉しくて。
だけどその望みは叶いませんでした。
数年後、別の人と暮らしていました。
そのまま結婚するんだろうと思っていました。
妊娠した時彼は言いました。
まだ遊びたいから無理だと。
なんで私は自分の子を抱けないの?
私は家族というものに縁がないのかもしれない
そう思うようになっていました
そしてまた数年後、私に夢中でベタ惚れの年下の彼はやはり言いました
子供はまだ早いんだ、、と。
いつもこの人ならと信じて疑わなかったのに
なぜ、、、
もう無理だ、生きてはいけない
そう思うところまできていました
最初の子の父親に出会う前の私は生きる屍だったのかもしれません
世界から色が消えていました
目に映る世界はどこまでも灰色
そんな時で死ぬことは考えたことはなかった
死ねと言われて私は死を無意識に遠ざけたのかもしれません
だから母の言葉もつらくはなかった
死が分からなかった
それが死を知り悼みを覚え生きることの苦しさも知り私はそのたびに弱くなりました
初めて死のうと思いました
でも、3人亡くして張り裂けそうな程苦しいのに、死んでしまえばその痛みが消えてしまう
私が痛くないと殺した子たちはきっと寂しい
そう強く思ったので生きる道を選びました
だけどこの痛みも時間が経てば薄れてしまう
そうならない為に私は背中に3つの魂を護る龍を彫りました。
忘れない、これを見る度心が張り裂けますように、そう願いながら。
時は経ち、家族をもち、やっと会えた娘を私は離しませんでした。
片時も離れず育て、外に出る時も手を離さなかった。
娘はいつもどうしてかーちゃんの背中には龍さんがいるの?と聞いてきました。
いつか大きくなったら話すよと言いました。
娘が高校生になった頃、また聞かれたので話しました。
娘は泣きました。産まれなかった兄弟たちを思い、生まれてこうして生きている自分が本当に幸せだと、私の娘に生まれてこれてよかったと、泣きました。
それを見て赦されたと感じました。
生きてきてよかったと思いました。
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