792人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
その日の夜、私は久々に深冬に電話をかけた。
『あ、お姉ちゃん。久しぶり! どうしたの?』
「元気かなーって思って。深冬は?」
『元気だよ~。ついこの前、宗一郎さんと海外旅行してきたとこ』
「海外かぁ。いいなあ。羨ましい」
『お姉ちゃんだって稼いでいるんだから、行けばいいのに』
「海外旅行できるほど、そんなに仕事が休めないよ」
『相変わらず仕事虫だね~。そんなんじゃ、出会いなくなっちゃうよ』
「う”」
深冬は時々痛いところを突いてくる。
「もう諦めた」
『なんでよ~。お姉ちゃん綺麗なんだから、独身でいるの勿体ないよ!」
「そんなこと言ってくれるのって、深冬だけだよ~。ありがとう」
『ラブロマンスの話はないの?』
「実は…ショコラカプチーノさんと出かけることになって…」
『ええっ』
「あ、違うの。なんか、ショコラカプチーノさんが商社の営業マンっていうことを今日知ったんだけれど、コーヒーのことを詳しく教えて欲しいって言われたの。それで、出かけることになっただけで…」
『お姉ちゃん、それ、完全にデートだから』
「あ、でもっ、仕事の話だけ…」
『またまたぁ~。ショコラカプチーノさんの話、私にしょっちゅうしてきておいて、なにを言ってるのよ。このチャンス、モノにしなきゃ! デートはいつ?』
「2日後…早番終わりに」
『大変! 明日お姉ちゃんの所行くから。お洒落していかなきゃだよ!』
「来てくれるの?」
『もちろんだよ! かわいくしてあげるから!』
有言実行で深冬は次の日私の住むマンションに来てくれて、今流行りの男性受けがいいものだとか、コーディネートやメイクの方法を伝授してくれた。
そして挑んだ、デートは…。
最初のコメントを投稿しよう!