第1話

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 その日の夜、私は久々に深冬に電話をかけた。 『あ、お姉ちゃん。久しぶり! どうしたの?』 「元気かなーって思って。深冬は?」 『元気だよ~。ついこの前、宗一郎さんと海外旅行してきたとこ』 「海外かぁ。いいなあ。羨ましい」 『お姉ちゃんだって稼いでいるんだから、行けばいいのに』 「海外旅行できるほど、そんなに仕事が休めないよ」 『相変わらず仕事虫だね~。そんなんじゃ、出会いなくなっちゃうよ』 「う”」  深冬は時々痛いところを突いてくる。 「もう諦めた」 『なんでよ~。お姉ちゃん綺麗なんだから、独身でいるの勿体ないよ!」 「そんなこと言ってくれるのって、深冬だけだよ~。ありがとう」 『ラブロマンスの話はないの?』 「実は…ショコラカプチーノさんと出かけることになって…」 『ええっ』 「あ、違うの。なんか、ショコラカプチーノさんが商社の営業マンっていうことを今日知ったんだけれど、コーヒーのことを詳しく教えて欲しいって言われたの。それで、出かけることになっただけで…」 『お姉ちゃん、それ、完全にデートだから』 「あ、でもっ、仕事の話だけ…」 『またまたぁ~。ショコラカプチーノさんの話、私にしょっちゅうしてきておいて、なにを言ってるのよ。このチャンス、モノにしなきゃ! デートはいつ?』 「2日後…早番終わりに」 『大変! 明日お姉ちゃんの所行くから。お洒落していかなきゃだよ!』 「来てくれるの?」 『もちろんだよ! かわいくしてあげるから!』  有言実行で深冬は次の日私の住むマンションに来てくれて、今流行りの男性受けがいいものだとか、コーディネートやメイクの方法を伝授してくれた。  そして挑んだ、デートは…。
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