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「宮子さん、カニ触れるんですか?」
「当たり前でしょう。わたし、静岡のド田舎で育ったんだから」
宮子さんはカニを解放すると言った。
「わたしさ、後妻業の女だって、世間から疎まれているみたい。考えてみれば、峻三さんが亡くなったら、わたしが二分の一相続するんだものね」
「それは当然の権利です。世間がとやかく言う資格はない」
「でも、世間はそうは見ない。いい?この世の中にはね、やっかむ者とやっかまれる者の二つに分かれるの。祥子ちゃんも後者になりなさい」
宮子さんは靡く髪を手で押さえながら言った。
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