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2038年 4月
あたしは十三歳の女子中学生。
ポニーテールが自慢。顔にはちょっとソバカスがあるけど、気にならない。むしろ、それをチャームポイントにしている。
あたしはバスケ部に所属している。夏の大会に向けて、目下、練習中だ。
あたしのお父さんはかつて、ストーカー殺人の犯人だった。だけど、刑務所に服役して、罪を償い、出所してからストーカー犯罪に苦しむ人たちを大勢、助けてきた。お母さんもその一人で、縁あって結ばれ、あたしが生まれた。
今はお父さんは防犯グッズを専門にしている会社の社長。お母さんは専業主婦だ。
お母さんは料理がとても美味しい。あたしも歳をとってもお母さんのようになりたい。いや、なるんだと決めている。
辺りは暗くなってきた。
あたしは最近、家までの近道を見つけた。トンネルだ。静かで暗いけど、そこを通れば、家まですぐだ。
あたしは何の躊躇いもなく、トンネルに入った。
気のせいかな?さっきから足音がする。あたしの足音がトンネル内で反響しているのかな?
最近、誰かにつけられている気がする。あたしはつい、この間、つきあってくださいと告白された。だけど、タイプじゃないので断った。
その時、お母さんからメールが届いた。
「今日はパパの誕生日だから、チキンを焼いておいたから、寄り道しないで早く帰って来なさいね」
あたしはほくそ笑み、立ち止まってメールの返信をした。
後ろから迫って来る足音に、あたしはまだ気づかない...。
「了」
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