第三章 四十九日

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——そこからが、恐怖の始まりだった。  救急車のサイレンの音が不自然にブツリと途切れ、目の前に信じられない光景が広がっていたのだ。 「な、なによコレ」  私はその奇妙な現象に、思わず一歩後ずさった。扉の先を見て呆然とする。本来なら外に通じている扉が、どこかの部屋につながっていた。よく見ると、そこは私の家のだった!! 「玄関が、直接居間に通じている……?」 ——じゃあ、私がさっきまでいた居間は何処に?  後ろを振り向くと、さっきまでアルバムを見ていた居間は、たしかに廊下の先にある。 「おかしい」  私は目の前の光景をただただ信じられず、立ち尽くした。一方で健太はまだ起き上がることなく、時々うめき声を漏らしていた。 「……私が、何とかしなくちゃ」  私は勇気を振り絞って一歩足を踏み入れた。居間によく似たその空間を見渡していると、背後で突然カチャッと音が聞こえた。 「まさか!?」  私は慌てて玄関の扉の取っ手を引っ張った。開かない……まずい。 「閉じ込められた!!!」  それから閉じ込められた居間で、あることに気が付いた。健太の遺影が置いてあるはずの戸棚に、『私の遺影』が置いてあったのだ! 「私、死んでるの……?」  いや、絶対に違う。私は生きている! グルグルといろいろな考えが頭を回る中、私はふと思いついた。 「もしかして、再会した健太は? カラクリはよく分からないけれど……。私の住む世界とが繋がってしまったってこと!?」  正直有り得ないと思ったが、不思議と確信に近かった。目の前で起きた事柄を説明するには、それしかない。私があの出鱈目なサイトに登録してしまったから、こんな目に遭っているに違いない。
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