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第四章 逃げた先には
彼はナイフを振り回して襲い掛かってきた。
まだ、死にたくない! 私は居間の掃き出し窓を開けて外に飛び出た。
「やっぱり、外に出られないの!?」
私は庭に通じる掃き出し窓を通ったはずなのに、また別の世界の居間が広がっていたのだ。戸惑う暇もないので、次は閉まっていた居間の扉を開けた。
「また別の世界の居間に繋がっている!」
そのとき、ヒュンッとナイフが右頬を掠った。ツーッと血がしたたり落ちるのを感じる。私は死に物狂いで居間から台所に逃げ、勝手口のドアを開けた。すると、そこはまた別世界の台所に繋がっていた。
私は逃げた。
家中の扉を開けまくり、そのたびに別の世界の私の家に逃げる。
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