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逃げて、逃げて、逃げて。
頭の奥で警鐘が鳴り止まない。
もっと、もっと、もっと先へ。
息も絶え絶えになった私は、気づくと真っ暗な空間にいた。
「もう嫌だ。ここは、どこなの?」
クローゼットの中にでも入っちゃったのかしら? そう思って手足を動かすと、予想よりも随分と広い空間にいることに気が付いた。辺り一面真っ暗だけれど、どうやらここは外みたいだ。
「やっと、外に出られたんだ」
耳を澄ますと、かすかに水の流れる音が聞こえてくる。足もとが良く見えないので、ポケットに入れていたスマホで明かりをつけた。
そこには見渡す限り、真っ赤な彼岸花が咲き乱れていた。
その美しさに目を奪われていて、馬鹿な私はゆっくりと近づいてくる人物に気付かなかった。
「ケガはないか……?」
その声を聞いて、ビクリと顔を上げた。
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