エピローグ

1/1
前へ
/17ページ
次へ

エピローグ

 目を覚ますと、私は玄関の靴箱の前に倒れ込んでいた。目を擦りながら立ち上がる。そのときスマホが鳴った。画面をみるとショートメールが一件入っていた。 〈健太さまにお繋ぎする途中、弊社の手違いで時空を歪ませてしまい大変申し訳ございませんでした。あの世にいらっしゃる本物の健太さまに再会されたことを確認いたしました。弊社のサービスをご利用いただき、ありがとうございました〉  どうやらもう扉を開けても別世界に繋がることはないようだ。  私は一安心して廊下を通り、居間の扉を開けた。ふらふらな足取りで、ソファに腰を掛ける。顔を上げると戸棚に置かれた健太の遺影が、部屋の中を優しく見守っていた。 「愛してる、健太」  私は独り、呟いた。 〈了〉
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加